遺産分割確定前の不動産収入の帰属①

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賃貸用のアパート・マンションや駐車場をお持ちの方が亡くなった場合、相続人の方はその不動産賃貸業を引き継ぐと思います。その場合に論点となるのが「相続開始時から遺産分割協議による取得者確定までの家賃収入は誰のものになるのか?」という点です。
具体的な状況を踏まえて考えてみましょう。

■被相続人:父(不動産賃貸業を営んでいた)
■相続人:母及び子2人
■相続開始年月日:令和3年2月1日
■遺産分割協議の確定日:令和3年7月31日
■賃料収入:月額50万円(2月から7月までの賃料合計は300万円)
■事業を引き継いだ人:母

この場合の「令和3年2月1日から令和3年7月31日までの賃料収入」ですが、結論としては「母及び子2人が法定相続分に応じて取得する」となります。上記の場合、母は「300万円×1/2=150万円」を、子2人はそれぞれ「300万円×1/2×1/2=75万円」を取得し、それぞれが個別に確定申告をすることとなります。

ただ、実務上は不動産を取得した人(上記設例の場合は母)が1人で全額を申告しているケースが多く見受けられますが、それによる税務署からの指摘はあまり聞いたことがありません。
個人的な推測ですが、これは下記2つの理由によるものと考えています。

①税務署側において遺産分割の確定日を把握するのが困難。
②1人で申告した方が納税者の負担すべき税負担が増す(多く税金を支払う)傾向にあるため、税務署側としてはあえて指摘する必要がない。

①についてですが、相続があった場合は死亡を原因とする相続登記を法務局で行うことになります。その登記簿謄本には死亡の日は表示されているものの遺産分割協議の確定日は表示されていません。税務署が上記確定日を把握するためには相続人に問い合わせるか法務局で遺産分割協議書の日付を確認する他ありませんが、全ての案件について確認するには労力がかかりすぎます。また、「2月1日に亡くなって同日に取得者も決まっていた(上記設例の場合は母)」という場合はもちろん母が1人で申告するのが正しいため、確定申告という自己申告の考えを尊重しているのかもしれません。

②については次回の記事で説明したいと思います。

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執筆者:税理士 佐藤友一