相続税の課税対象となる贈与とならない贈与~生前贈与加算~

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 生きている間に子どもに預金を振り込むことにより相続対策をしているケースをよくみかけます。年間110万円以下の贈与は贈与税が発生せず、また金融機関等のやりとりが面倒な教育資金の一括贈与と比較して手軽にできる相続対策であるため、ポピュラーなのだと思います。ただ、親族間のお金のやり取りは通帳履歴から後追いしやすく、税務署も目をつけやすいポイントとなります。重要な点を無視してしまうと、贈与したと思っていたお金が相続税の対象となってしまうなどの想定外なケースに陥ってしまうため、少なくとも下記内容はしっかり理解しましょう。
  

<そもそも贈与とは>

 贈与とは「契約」です。財産を無償で与える意思表示とその財産を受諾する意思表示が必要となります。
 親が子供名義の銀行口座を管理しており、親が独断で親の口座から子供の口座に入金していたというケースに時々遭遇します。この場合、子は財産を受諾する意思表示をしていないため、入金した財産は名義預金となり、贈与されていない親の財産のままとなります。贈与を成立させるためには、あくまでの双方の意思表示が必要となります。
 また、親が亡くなった後に贈与の事実を証明することは難しいので、親族間であっても贈与契約をする際は双方が自筆押印した贈与契約書を作成することをおすすめいたします。贈与契約書がないことにより、生前贈与について否認されたケース(東京高裁平成21年4月16日判決)もあるため注意が必要です。
 

<生前贈与加算とは~3年内加算ルール~>

 生前贈与加算(3年内加算ルール)とは、相続人に生前贈与が行われてから3年以内に本人が亡くなって相続が発生すると、生前贈与額が相続財産に加算され、相続税の対象に組み込まれるという内容です。
 下記例で考えた場合、30年7月7日に亡くなっているため、27年7月7日以降に亡くなった方から相続人に対して贈与された財産は相続税の対象となるため、①~④の財産は相続財産に加える必要がでてしまいます。
  
亡くなった日:30年7月7日
贈与した日・金額:
① 30年1月7日、現金200万円
② 29年4月7日、株式300万円
③ 28年4月7日、車100万円
④ 27年8月7日、分譲マンション3000万円
⑤ 27年2月7日、分譲マンション4000万円
 
 ただ、このルールは相続人に対して行われた贈与に対するルールであるため、例えば相続人に該当しない、子の配偶者(夫又は妻)に対して行われた贈与については、適用されません。なので、上記例の①~⑤の全てが相続税の対象外となり、相続対策が成功したということになります。相続時に子が存命である場合は孫に対して行った贈与についても同様のことが言えます(先に子が死亡した場合は孫が相続人となるため、その場合は3年内加算ルールが適用されます)。
子だけではなく、もっと視野を広げた贈与が相続対策としては有効となります。

  
 
執筆者:関口達也

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