相続不動産の共有名義解消方法

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過去の相続で、相続人間において共有のするのが最も平等であるだろうとか、遺産分割が面倒なのでとりあえずということで、相続財産を共有にしている方は結構多いのではないでしょうか。

 

実際、私も既に共有にしてしまった方を数多く見てきていますし、将来的な紛争のリスクに全く気付いていない方も多くお見受けしてきました。

もちろんすべてのケースにおいて共有が絶対ダメだというわけではありませんが、後に揉める原因になる可能性は高いです。

 

最初の相続での共有は百歩譲ってまだいいとしても、その次に相続が起こったとき、更にその次に相続が起こったときにはリスクが一気に顕在化してきます。

 

 

例えば、父が既に数十年前に亡くなっているご家族で、数年前に母が亡くなり、子3人で土地を1/3ずつ共有で相続していたとします。

 

子3人が生存中は運良く揉めなかったとしても、そのうちの誰かが亡くなり、その共有持分をその家族(配偶者や子)が持つと、一気に紛争になる可能性が高まります。

 

土地を売却してお金にしたいという共有持分者が出てくる一方で、この土地は家族の思い出の詰まった場所なので売却したくないという意見の方もいて、方向性の不一致が起きる可能性は高いです。

 

そこで、共有持分の解消方法について、一般的な手法を説明していきたいと思います。

現在、共有の状態にある場合は、早急に解消の検討をされることをおすすめします。

 

実際には、個別案件ごとに最適解が異なりますので、専門家に相談のうえで皆様方にとって最適な方法を選択してください。

 

 

共有物の分割


不動産における共有状態とは、不動産の特定の部分について誰も所有権を主張することはできない状態を指します。すなわち、全体の土地において、共有者が共有持分だけ満遍なく所有している状態です。

共有物の分割とは、これを所有者ごとに特定部分の所有権を明確にするというものです。

 

共有者がそれぞれ取得した特定部分の価格が平等であれば、税金は発生しません。

ある程度広い土地であればこのように分割できるのでしょうが、狭い土地であればなかなか難しいと思われます。

 

 

売却


これは最もシンプルな方法です。

共有者A・B・Cで1/3ずつ所有していたものを、AがB・Cから時価で持分を買い取るというものです。Aに資金があれば最もシンプルな話だと思いますが、現実にはAに資金がないケースもあり、買取代金をどうするかが問題になるケースが多いです。

また、土地というのは共有持分の状態だと自由に土地を使用・処分できないため持分の価格が割安に売買されるという特徴があります。したがって、これを共有者の1人が持分を割安な価格で買い集め、共有を解消した状態で、高額な値段で第三者に売却するということも出来てしまいますので、そのあたりも頭に入れておく必要があるでしょう。

 

 

交換


これは所有している不動産(持分を含む)と他の不動産(持分を含む)を交換するものです。ただし、原則として税金計算上は時価で譲渡したと考えますので税金が発生してしまうのですが、所得税法及び法人税法に交換の特例という制度があり、これを使うと課税は抑えられます。

例えば共有者A・Bで所有しているX土地が全体で8,000万円だったとします(共有持分1/2ならA・Bが各4,000万円分の権利)。

Bが別途自己所有の4,000万円分のY土地を所有していた場合、共有持分をAから取得し、代わりに自己所有の4,000万円の土地をAにあげることで、X土地はB単独所有に、Y土地はAの単独所有になり、共有が解消されます。

 

この交換の特例を使うには要件があり、概要を示すと下記のとおりです。

・譲渡する資産は1年以上所有していた土地・建物・機械装置・船舶・鉱業権等の固定資産であること

・取得する資産は相手が1年以上所有していた固定資産で、かつ、交換のために取得したと認められるものでないこと

・譲渡する資産と取得する資産が同種の固定資産であること

・取得する資産を譲渡する資産の譲渡直前の用途と同じ用途に供すること

・取得する資産と譲渡する資産の時価の差額が20%以内であること

 

 

贈与


これは利害関係が対立していない親族間で取り得る選択肢です。

一旦共有にはしたけれど、将来的なリスクを考え、母親が1人の子に持分を寄せておきたいという場合に使えます、

しかし、贈与に係る税金は高額になりがちですので(1,000万円超で50%の贈与税率)、相続時精算課税制度の活用などの税金対策は必須です。

収益不動産については特に生前に持分を移しておく効果は大きいでしょう。収益不動産に係る生前の所得課税、そしてその結果蓄積される資産に相続税がかかることを考えると、贈与税負担をうまく抑えられるのであれば、生前に持分移転しておくことで大きな節税効果が見込めます。

 

 

 

また、最近では信託を使って共有持分の解消効果を得る方法も考えられます。ここでいう信託とは信託銀行が行う商事信託ではなく、民事信託(≒家族信託)のほうです。この点についてはまたの機会にご説明いたします。

 

それと、厳密には共有とは異なりますが、会社の株式を不動産の共有と同じ考えで、子供みんなに平等に相続させるというケースも未だに見受けられます。

これは土地の共有以上に大きなリスクと言わざるを得ません。経営に関与していない親族が口を出してきたり、株式を買い取ってくれと言ってきたり、最悪のケースでは一部の親族で団結して現経営者を追い出したりということも実際起こっています。

やはり株式は経営に関与している相続人に集約するのがベターですので、このあたりも相続の経験が豊富な専門家であれば、決して平等に相続させるというアドバイスはしないと思います。

 

 

税金対策も重要ですが、相続ではそれ以上に重要なこともたくさんあります。

弊社のホームページでも書いていますが、相続対策は、①争族対策(揉めない対策)、②納税資金対策、③節税対策の順で考えるのが重要です。

 

札幌を含む北海道エリアで相続に関するご相談はFUJITA税理士法人までお気軽にご相談ください。

 

執筆者:税理士 藤田賢