相続でよく聞く法定相続分って何?

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相続の話になると「法定相続分」という言葉をよく耳にするかと思います。
今回は相続の基本として、法定相続分について改めて記載します。

法定相続分とは?

法定相続分とは、各相続人が相続財産を承継する割合(相続分)のことをいい、民法900条で定められています。

(法定相続分)第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

 
お客様との面談で、「相続財産は法定相続分どおりに分けないといけないのか?」と質問を受けることがありますが、必ずしもそうではありません。
相続財産の承継割合は、遺産分割協議で自由に決めることができます。
法定相続分はあくまでも分割の目安としてお考え下さい。

なお、「相続財産は遺言のとおりに分けないといけないのか?」という質問も受けることがありますが、これについては過去のブログで紹介していますので、そちらをご覧ください。
遺言と異なる遺産分割協議は可能か?

では、どのような時に法定相続分が使われるのでしょうか?

法定相続分が使われる場面

1.遺留分を計算する
遺留分とは、相続人に最低限保障されている遺産の取得割合をいい、この遺留分を計算する際に法定相続分が使われます。

◎遺留分の計算方法

遺留分=総体的遺留分×法定相続分

総体的遺留分…相続全体で認められる遺留分
→相続人が直系尊属(親や祖父母など)のみの場合は3分の1
→相続人が直系尊属以外(配偶者や子など)の場合は2分の1
※相続人が兄弟姉妹(または甥姪)の場合は、遺留分は認められない。

 
なお、遺留分は相続人の権利であるため、権利を行使するかしないかは相続人が自由に決められます。
そのため、遺言の作成や遺産分割協議をする際には、各相続人の遺留分も考慮して進めるとトラブルが発生しづらくなります。

2.相続税を計算する
相続税を計算する際にも法定相続分が使われます。

◎相続税の計算方法(概要)

① 課税遺産総額を計算

正味の遺産額-基礎控除=課税遺産総額

正味の遺産額…遺産総額(不動産、預貯金、みなし相続財産、生前贈与等)-非課税財産-債務-葬儀費用
基礎控除…3,000万円×法定相続人の人数

② 法定相続分で相続したと仮定して課税遺産総額を法定相続分で按分

課税遺産総額×法定相続分×相続税率-控除=法定相続分毎の相続税額
法定相続分毎の相続税額を合計=相続税総額

相続税の速算表についてはこちら(国税庁HP)をご覧ください。

③ 相続税総額を相続分(実際に遺産をもらった割合)で按分

相続税総額×相続分(実際に遺産をもらった割合)=各相続人の相続税額

 
3.その他
上記1、2の他、遺産分割協議がまとまらず審判になった場合も、法定相続分で相続財産を分けることになります。
また、令和元年7月から始まった相続預金の払戻し制度で、払戻し可能金額を計算する際にも法定相続分が使用されます。

最後に

以上のとおり、法定相続分は故人と相続人との関係性で割合が変わり、遺留分の計算や相続税の計算等、相続の様々な場面で使われます。
ご自身の相続が発生した時に法定相続分がどのようになるのか予め計算し、生前対策をしておくといいかもしれません。

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