遺産分割協議がまとまらなかったら?

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相続争いは珍しくない!

相続争いなんて我が家には関係ないと多くの方が考えているかもしれませんが、実際に相続争いが起きることは珍しくありません。
また、相続争いが起きるのは、資産が多い家庭とは限らないのが現状です。
今回は、遺産分割協議がまとまらなかった場合に、相続手続きがどのようになってしまうのかを見ていきましょう。
(※遺言がある場合は内容が異なりますのでご注意ください。)

預貯金の解約手続き等はどうなる?

金融機関で解約手続き等をするためには、相続人全員の署名押印がある遺産分割協議書または金融機関所定の手続依頼書を提出する必要があります。
どちらも遺産分割協議がまとまらなければ提出できない書類となっているため、遺産分割協議がまとまらなければ必然的に解約手続き等は行えないことになります。
この場合、相続人ができることは「相続預金の払戻し制度」を利用することです。
相続預金の払戻し制度とは、相続人全員の同意が無くても、金融機関ごとに一定の金額(相続開始時の預貯金額×1/3×払戻しを受ける方の法定相続分)までは払戻しが受けられる制度で、解約等はできませんが預貯金の一部を取得することができます。
(ただし金融機関ごとに150万円が限度です。)

相続税の申告はどうなる?

相続税の申告がある場合は、法定相続分で分割があったと仮定して相続税額を計算し、期限内に申告と納税をします。
これを「未分割申告」といい、新たに分割が決定した時に再度修正の申告をします。
修正の申告をすると、新たな税額に応じて、追加で税金を納めるまたは納めすぎた税金が還付されることになります。
なお、未分割申告をせずに期限後に申告をすることもできますが、この場合は延滞税や無申告加算税が加算されるうえ、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」等の税額控除が使用できなくなるため、おすすめできません。未分割申告についてはこちらもご覧ください。

不動産の登記はどうなる?

不動産の登記がある場合は、法定相続分のみであれば登記をすることができます。
しかし、不動産が共有状態になってしまい、単独で売却等ができなくなりますので、おすすめできません。
なお、令和6年4月1日より相続登記の申請が義務化となりますので、遺産分割協議がまとまらない場合は「相続人申告登記」をする必要があります。
この相続人申告登記とは、登記申請義務のある者が法務局に氏名や住所等を登記することで、登記申請の義務を履行したとみなす制度ですので、不動産の登記の予定がある場合は覚えておくといいでしょう。

最後に

実務では遺産分割協議がまとまらず、調停になってしまうケースが少なくありません。
この場合、弊所ではお手伝いできることが限られてしまい、残念な気持ちになります。
また、生前に家族や親族で話し合いをしっかりとしていれば、防げることもあったのではないかと度々思います。

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