贈与税と相続税 どっちで支払う方が得?・・・①
相続税の節税対策として暦年贈与を行っていくというのは一般に知られているところだと思います。贈与があった場合、1年間で110万円の基礎控除があるためそれを活用して贈与を行っている最中という方もいらっしゃるでしょう。
ただ、相続税の節税対策として行う年間110万円の暦年贈与は有効な方と有効ではない方がいるのかなというのが実感としてあります。
例えば、1億円の預金がある人が配偶者と子2人に毎年110万円の範囲内で贈与をしていく。これが有効かどうかを判断するにはこれだけでは情報が足りません。それではこれに情報を付け加えるとして、贈与をする人が(A)60歳のケースと(B)75歳のケースではどうでしょうか。
日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳ですのでここでは85歳まで対策ができるという仮定で検討してみます。
(A)贈与をする人が60歳のケース
①年間贈与額:110万円×3人=330万円
②85歳までの累計贈与額:①×(85歳-60歳)=8,250万円
③85歳時の預金残高:1億円-②=1,750万円
(B)贈与をする人が75歳のケース
①年間贈与額:110万円×3人=330万円
②85歳までの累計贈与額:①×(85歳-75歳)=3,300万円
③85歳時の預金残高:1億円-②=6,700万円
また、ここで忘れてはならないのが生前贈与加算です。
生前贈与加算とは、相続開始前3年以内に被相続人(ここでは上記の贈与をした人)から受けた贈与について相続税の課税価格に加算する制度で、贈与の日にちにもよりますが通常であれば上記の場合330万円/年×3年=990万円が相続税の課税価格に加算されることとなります。
(A)の場合は990万円を加算しても基礎控除(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)の範囲内のため相続税の心配はなさそうですが、(B)の場合は6,700万円+990万円=7,690万円が相続税の課税対象となってしまいます。
それではこのような場合はどのような対応をしていくのが有効かを次回に検討してみたいと思います。
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執筆者:税理士 佐藤友一