「相続の発生」=「相続税の発生」か?
大切な方が亡くなられて相続が発生したとき、相続税の申告や納税が必要となるかは皆さん気にかかるところだと思います。
例外はありますが、申告や納税は基本的に「積極財産の価額-消極財産の価額-基礎控除額」がプラスの場合に必要となります。
それでは申告が必要かを判断する過程について順を追って見ていきましょう。
➀亡くなられた方の財産について、「なにが」「どこに」「どれくらい」あるのか把握します。
財産には積極財産と呼ばれるプラスの財産だけではなく、消極財産と呼ばれるマイナスの財産も
含まれます。
■積極財産(+):現金・預貯金・有価証券・土地・家屋・貸付金・死亡保険金など。
■消極財産(-):借入金・未払の税金や医療費など。
➁これらの財産が、相続税の評価上どれくらいの金額になるのか算定します。
評価がしやすい財産もあれば専門的な知識がなければ難しい財産もあり、慎重に算定する必要があります。
➂相続税の課税価格を算出します。
積極財産の価額から消極財産の価額を控除した金額が課税価格になりますが、相続人の方が亡くなられた方
から相続開始前3年以内に贈与を受けたことがある場合はその金額をプラスします。
➃➂の課税価格から基礎控除額を引いた金額がプラスの場合に相続税の申告が必要となります。
基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求めるので、相続人の方が3名の場合は
「3,000万円+(600万円×3名)=4,800万円」になります。
課税価格よりも基礎控除額の方が大きい場合は相続税の申告は不要です。
ちなみに・・・
相続税の基礎控除額ですが、平成26年12月31日以前に相続があった場合は「5,000万円+(1,000万円×
法定相続人の数)」でした。
現在は基礎控除額が少なくなりましたので、相続税申告が必要になる方が倍増しているという国税庁の
データがあります。
相続税申告は一部のお金持ちだけに関係するというものではなくどなたにも身近なものになってきた感が
ありますね。
しかしながら、土地の評価方法など専門知識が必要となる場面も多々あります。
せっかくご自身で時間をかけて調べて申告しても誤って多く納税してしまったり、逆に少なく納税して
しまったことが税務署の調査によって指摘されて加算税などのペナルティーを受けてしまっては身も蓋も
ありません。
相続税の申告は特殊ですので、やはり税の専門家へご相談されることをお勧めします。
執筆者:荒川敦子