非上場株式の相続税評価が62年ぶりに大改正へ|2028年適用予定の新ルールをやさしく解説

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「オーナー企業の株を、次の世代にどう引き継ぐか」――中小企業の事業承継や相続税対策で、必ず論点になるのが非上場株式(取引相場のない株式)の評価です。この評価ルールが、いま約62年ぶりの大改正に向けて動き出しています。国税庁の有識者会議で議論が進んでおり、2028年1月以降の相続からの適用を目指すスケジュールです。
本記事では、そもそも現行制度がどんな仕組みで、なぜ見直されるのか、新ルールでどう変わりそうなのかを、オーナー企業のご家族向けにやさしく整理します。

そもそも、なぜ「非上場株式の評価」が問題になるのか

非上場株式は、上場株のように市場価格が付きません。そのため、相続や贈与のときには、国税庁が定める「財産評価基本通達」に沿って評価額を計算し、その額に対して相続税や贈与税がかかります。
現行のルールが定められたのは昭和39年(1964年)。もう60年以上前に組み立てられた仕組みで、時代の変化に合わなくなってきたと指摘されています。たとえば、類似業種比準方式は上場企業の株価に連動するため、株式市場の急落・急騰で評価額が大きく揺れてしまう問題があります。また、意図的に赤字決算や配当を抑えることで、株価を人為的に下げる余地があることも問題視されてきました。

現行の評価方法をざっくりおさらい

いまの評価は、会社の規模(大会社・中会社・小会社)ごとに3つの方式を組み合わせています。
• 類似業種比準方式:同業種の上場企業の株価を参考に、配当・利益・純資産の3要素で調整して算定
• 純資産価額方式:会社の資産から負債を引いた純資産をベースに算定
• 併用方式:中会社では上記2つを一定割合で組み合わせて算定
大会社ほど類似業種比準方式の比率が高く、小会社ほど純資産価額方式の比率が高くなります。

改正の方向性|「類似業種比準方式」は廃止へ

2026年4月に始まった有識者会議での議論では、次のような方向性が示されています。
類似業種比準方式は廃止する方向で、代わりに新しい算定方法として「残余利益方式」の導入が検討されています。残余利益方式は、会社の簿価純資産(会計帳簿上の純資産)と、将来生み出す利益をベースに評価する考え方です。これに純資産価額方式を組み合わせる案も出ています。
つまり、これからの非上場株式の評価は「上場株の値動きに左右されず、会社そのものの実力(純資産と利益)で決める」方向へと大きく舵を切ります。

だれに、どんな影響が出るのか

一般に言われているのは、次のような影響です。
• 高収益で実勢価格が高い会社:評価額が上がり、相続税負担が増える傾向
• 中小・零細企業:税負担が減る見通し
• 少数株主が持つ株式:これまで低く評価されすぎていた面が是正される可能性
一部の報道では「評価額が現状の8.5倍になる会社もあれば、0.7倍に下がる会社もある」といった試算も紹介されています。会社の収益力・資産構成によって、影響の方向がまったく逆になる点は押さえておきたいところです。

いつから? 適用スケジュール

現時点の想定スケジュールは、次のとおりです。
• 2026年内:有識者会議で論点の取りまとめ
• 2027年度税制改正大綱に反映
• 2028年1月以降の相続・贈与から新ルールを適用
つまり、いま事業承継や自社株の生前贈与を検討されているオーナー経営者にとって、「現行ルールでできる対策は残り約1年」という状況になっています。

いま準備しておきたいこと

改正の影響は、会社によって「増税」にも「減税」にもなり得ます。だからこそ、次の3つを早めに整理しておくことをおすすめします。
• 自社株の現行ルールでの評価額を把握する:まずは今の評価額を出し、改正後にどう変わりそうかの目星をつけます
• 事業承継税制(特例措置)の活用を検討する:一定要件を満たせば納税を猶予・免除できる制度で、2027年12月末までに特例承継計画の提出が求められています
• 改正動向を継続ウォッチする:2027年の税制改正大綱で最終形が固まる見込みです

まとめ|「まだ先」ではなく「もう1年」の話

非上場株式の評価が変わるのは2028年1月からとはいえ、事業承継や生前贈与の準備には時間がかかります。特に評価額が上がる可能性がある会社では、現行ルールの間に打てる手を打っておくことが、相続税負担を大きく左右します。
当事務所では、非上場株式の評価シミュレーション、事業承継税制のご相談を随時お受けしています。改正の影響が気になる方は、お早めにご相談ください。

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