なぜ戸籍の収集に時間がかかるのか?
戸籍の収集には時間がかかる
相続が発生したら、まず初めに行わなければならないのが「相続人の確定」です。
相続人の確定は、戸籍を使って行われるため戸籍を収集する必要があるのですが、この戸籍の収集に時間がかかるという話を聞いたことはありませんか?
実際のところ、収集には早くて2~3週間、場合によっては2~3か月ほどかかります。
そこで今回はなぜ戸籍の収集に時間がかかるのかを説明していきます。
戸籍の管理は市区町村ごと
戸籍は市区町村ごとに管理されており、私たちが戸籍を請求するためには市区町村役場の窓口に出向くか、もしくは市区町村役場に郵送で請求をしなければなりません。
また、相続人の確定で一般的に必要となる戸籍は、亡くなられた方の出生~死亡までの連続した戸籍と相続人の現在の戸籍であり、私たちは亡くなられた方の最後の本籍地から出生した時の本籍地まで遡って請求をしていくことになります。
例えば、亡くなられた方が出生から死亡するまでの間にA市→B市→C市と転籍していた場合、亡くなられた方の戸籍をすべて収集するにはA市、B市、C市のすべてに戸籍を請求しなければなりません。
窓口に直接出向くことができれば収集にあまり時間はかかりませんが、窓口に出向くことが難しい場合は、郵送で請求をすることになるため時間がかかります。
実際どれくらいの時間がかかるかというと、札幌から道内の市区町村役場への請求であれば概ね一週間、札幌から道外の市区町村役場への請求であれば概ね2週間ほどかかります。
先ほどの例だと、3つの市が全て道外であれば単純に6週間かかることになります。
このように戸籍の管理が市区町村ごとに行われていることが、戸籍の収集に時間がかかってしまう主な原因となります。
これに加えて以下の2つの要素があると戸籍の収集の時間がさらにかかります。
戸籍の収集に時間がかかる2つの要素
(1)相続人が多い
亡くなられた方に子がおらず、両親も他界していて兄弟姉妹が相続人になるような場合(第三順位の相続)は、相続人が多くなる傾向があります。
先ほど述べたとおり、相続人の確定には相続人の現在の戸籍が必要となりますので、相続人が多ければ多いほど、請求しなければならない戸籍が増えます。
加えて、第三順位の相続の場合は、両親や祖父母が亡くなっていることを確認するため、両親及び祖父母の出生~死亡までの連続した戸籍も必要となります。
(さらに兄弟姉妹の中で亡くなっている方がいる場合は、その方の出生~死亡までの連続した戸籍も必要となります。)
(2)本籍地を転々としていた
稀に亡くなられた方や相続人が、離婚再婚を繰り返している、引っ越しの度に本籍地を変更している等、本籍地を転々としていることがあります。
この場合も、過去に本籍地があった全ての市区町村役場に戸籍を請求しなければなりません。
最後に
相続人の確定には戸籍の収集が必要になるのにも関わらず、収集に時間がかかってしまっているのが現状です。
そこで注目したいのが、令和元年5月24日に成立した戸籍法の改正です。
この改正によって戸籍の収集方法が一部変更となるようですので、次回のブログで紹介したいと思います。