贈与税の時効

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相続税の申告書提出に比べると贈与税の申告書提出の方が携わる機会が少ないなと感じます。

贈与税の申告に関し、「住宅取得等資金の非課税」などきちんと申告しなければ優遇規定が使えないなどの不利益がありますので申告書の提出は必須ですが、例えば贈与税の基礎控除である110万円以内の贈与であればそもそも申告不要ですし、親から300万円の車を買ってもらったなどのケースではそもそも贈与税の申告が必要という認識がない方が大半なのも要因の一つではないかと思われます(通常の生活費や教育費の資金提供は別ですが、車を購入するための資金提供は贈与税の対象になると考えられます)。

 

「車を買ってもらった」や「自宅購入時に数百万円の金銭をもらった」という方が世の中に何人位いるのかの把握は出来ませんが、その方々が「実は贈与税の申告が必要だった」という事を認識した場合、急いで申告書の提出と納税を済まさなければならないのでしょうか。

 

ここで私が頼りにしているのが法律ですが、相続税法36条で次のように定められています(全文は長いのでまとめて表示しています)。

 

税務署長は、贈与税について、その申告書の提出期限から六年を経過する日まで更正・決定・賦課決定をすることができる。

 

つまり、「本来の法定納期限から6年を経過することによって徴収権が消滅する=納税をしようと思っても受け取ることができない」という事になります。その結果、例えば20年前に1千万円の贈与を受けていたとしても、それは時効によって徴収権(納付義務)が消滅しているため何もする必要がないという事になります(但し、贈与の事実を隠していたなど悪質と認められる場合は6年ではなく7年になります)。

 

なお、この記事を見て「7年間申告をしなければ逃げ切れるんだ」という考えには絶対にならないでください。申告納付をしなければならないことが分かっている状態で7年間も過ごすのは精神的に耐えられないのではないかと想像できます。また、本来の申告期限を過ぎていたとしても、税務署から指摘される前に期限後申告として自主納付することで加算税の税率が軽減されます。

 

将来的には贈与税が改正(納税者にとっては不利益な改正)される可能性もありますし、贈与税についても慎重に判断していく必要がありますね。

 

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執筆者:税理士 佐藤友一

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