生命保険契約に関する権利 所得税法の改正による影響は?

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法人税や所得税の節税スキームとして低解約返戻金による保険の活用がありますが、法改正により令和3年7月1日から封じられる見込みとなっています。そもそもこれはどのような仕組みだったのか金額を交えてイメージしてみましょう。

<保険の内容>
実際の会計処理は下記と異なりますが、イメージしやすいように簡略化しています。
■年間保険料:1,000万円
■保険始期から4年目の解約返戻率は30%、5年超の解約返戻率は95%。
■保険始期から4年経過後に契約者を法人から代表者個人に変更(時価で譲渡する)。
→4年間の保険料合計額4,000万円に対し、時価は4,000万円×30%=1,200万円。
∴法人は4,000万円支出したものを1,200万円で譲渡するため損失が発生(法人税の節税)。
∴代表者個人は1,200万円で会社から買い取り、さらに5年目の保険料として1,000万円を支払うことによって解約返戻率が95%になる。2,200万円の支出に対して5,000万円×95%=4,750万円のキャッシュを得ることができる(保険の解約金は課税対象が利益の2分の1で済むため、ここで所得税の節税)。

このスキームを止めるために、令和3年7月1日以降は名義変更時の時価を上記1,200万円ではなく法人が積立金として資産計上している額を時価とする改正が行われる予定です。
保険内容によって異なりますが、4,000万円の支出に対する資産計上額が3,500万円の場合はこの3,500万円で会社から買い取らなければならなくなります。改正前であれば1,200万円で買い取ることが出来たものが3,500万円で買い取る必要が出てくるため、法人も個人もほとんどメリットがなくなってしまうのです。

ここで気になったのが「相続税における保険解約返戻金の評価も同様に改正されるのか?」という点です。
今のところですが、相続税評価に関する改正は行われずに従前どおり解約返戻金の額をもって相続税評価を行うことになりそうです。上記改正は自分が経営している法人の代表者という立場を活用して行うものであり、相続における保険積立金(解約返戻金)はこのような節税スキームを意識したものではなく単純に貯金のイメージで契約している人が大半でしょう。そのため、原則通りの時価(解約した時に得られる金額)をもって評価することに何ら問題がないため改正は行われないと思われます。

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執筆者:税理士 佐藤友一