非上場株式等についての贈与税の納税猶予(一般措置)

制度の概要

この制度は、非上場株式等を後継者へ贈与した場合に発生する贈与税について、その贈与の対象となった株式のうち発行済株式総数の3分の2に達するまでの部分について一定の要件のもと納税を猶予する制度です。
納税猶予の取消事由に該当しない限りは一般的に贈与者の死亡により贈与税の納税義務が免除され、これに伴い相続税として納付若しくは相続税の納税猶予の適用を受けることになります。

この制度を使うのに有効な方

・中小企業のオーナー若しくは後継者
・自社株式の評価額が1億円を超えているなど株価が高額となっている方
・税負担を考慮しながら事業承継を行いたい方

制度ができた背景

日本における企業のうちいわゆる中小企業が占める割合は約99%と言われています。その中小企業の経営者が高齢となって後継者へバトンタッチしようとしたときに後継者がいないため廃業するケースや、後継者がいたとしても相続税や贈与税の負担が重荷となっているケースが多々あります。
それを税制面からサポートするために納税猶予という形で事業承継を円滑に進めるための措置として制定されました。

適用を受けるための主な要件

(1)対象法人
・中小企業であること(医療法人や税理士法人などは対象外)
・風俗営業会社でないこと
・資産保有会社又は資産運用会社ではないこと

(2)贈与者 →相続では先代経営者
・会社の代表権を有していた者であること
・贈与時において会社の代表権を有していないこと
・贈与時において贈与者及び贈与者と特別の関係がある者が保有する株式の議決権数が発行済株式総数の50%超であり、かつ、後継者を除いたこれらの株主の中で贈与者が保有していた議決権数が最も多い(いわゆる筆頭株主である)こと

(3)後継者
・贈与時において会社の代表権を有していること
・贈与時において20歳以上であり、かつ、役員就任後3年以上経過していること
・後継者及び後継者と特別の関係がある者が保有する株式の議決権数が発行済株式総数の50%超となること
・後継者の保有する株式の議決権数が、後継者と特別の関係がある者の中で最も多く保有することとなること

手続き

(1)贈与から贈与税の申告期限までの期間
・贈与を受けた年の翌年1月15日までに都道府県に対して承継計画書を提出し、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の認定を受けること
・贈与税の申告期限までに、この制度の適用を受ける旨を記載した申告書及び一定の書類を税務署へ提出し、かつ、納税猶予の額及び利子税の額に応じた担保を税務署へ提供すること

(2)贈与税の申告期限から5年間
・納税猶予の要件を引き続き満たしているか確認するための「年次報告書」を都道府県に対して毎年提出
・納税猶予の制度を続けるための「継続届出書」を税務署へ毎年提出

(3)贈与税の申告期限から5年経過後
・納税猶予の制度を続けるための「継続届出書」を税務署へ3年ごとに提出

納税猶予が打ち切られる主なケース

・継続届出書を税務署へ提出しなかった場合
・後継者が非上場株式等を譲渡等した場合(贈与税の申告期限から5年以内に譲渡等した場合は猶予税額の全額が、5年経過後に譲渡等した場合はその譲渡等した部分に対応する猶予税額を納付することとなります。ただし、「猶予税額が免除される主なケース」へ記載の免除対象贈与を除く。)
・後継者が会社の代表権を有しないこととなった場合(贈与税の申告期限から5年間のみ)
・対象法人が風俗営業会社や資産保有会社等になった場合
・申告期限から5年間の平均従業員数が申請時の80%を下回ることとなった場合

猶予税額が免除される主なケース

・贈与者が死亡した場合(相続税の対象へ移行)
・後継者が死亡した場合
・後継者が免除対象贈与(※)を行った場合
※免除対象贈与とは、この非上場株式等を次の後継者に贈与した場合に、その贈与においても非上場株式等の贈与税の納税猶予の適用を受けている場合における贈与(贈与税の申告期限から5年以内はやむを得ない理由がある場合の贈与に限る)をいいます。

まとめ

納税猶予にはこのページでまとめた一般措置とは別に特例措置による納税猶予も設けられています。特例措置の場合、納税猶予の対象となる株式が発行済株式総数の2/3ではなく100%となっている点や適用できる期限が定められているなどの相違点がありますので合わせて押さえておきましょう。