特許権等の相続税評価

亡くなった人が特許権などの知的財産権を所有していた場合、権利を相続した人が亡くなった人に代わり、権利により発生する利益を受けることになります。
それらの権利は相続税の対象となり、相続税評価が必要となります。

この記事を読んでわかること

1.特許権の評価
(1)特許権を他人に使用させる場合
(2)特許権を自ら使用している場合
(3)特許権が少額な場合
2.実用新案権、意匠権及び商標権等の評価
3.著作権の評価
4.営業権の評価

具体的な内容

■特許権
特許権とは新しい技術の発明をした時に特許庁に出願することで得られる独占権利をいい、その新しい技術を自らが使うことができ、他人に使用させる場合には使用料をもらうことができるものです。
誰がその特許を使用するかによって評価方法が異なります。

1.特許権を他人に使用させる場合
特許権を他人に使用させる場合には、将来その特許権に基づきもらえるであろうお金を現在の価値に調整した金額が相続税評価額となります。
具体的には将来受ける補償金の額の基準年利率による複利現価の額の合計額により評価します。

特許権価額=第1年目の補償金年額×1年後の基準年利率による複利現価率+第2年目の補償金年額×2年後の基準年利率による複利現価率+…+第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利現価率

※補償金の額が確定していない場合には、課税時期前の相当期間内に取得した補償金の額のうち、その特許権の内容等に照らし、その特許権に係る経常的な収入と認められる部分の金額を基礎とし、その特許権の需要及び持続性等を参酌して推算した金額をもってその将来受ける補償金の額とします。

2.特許権を自ら使用している場合
その特許権の評価額は個別に算定されず、営業権に含めて一括で評価します。
営業権については後述します。

3.特許権が少額な場合
将来取得すると見込まれる補償金の額の合計額が50万円に満たないと認められる特許権については評価しないこととされています。

■実用新案権、意匠権及び商標権等
特許権の評価方法に準じて評価します。

■著作権
著作権とは音楽、絵画、映画などの著作物を独占的に支配して利益を受ける権利です。
著作物は他人に使用させる許可を与えたり、著作物を財産として所有したりすることができます。
著作権は次のように評価します。

著作権の評価額=年平均印税収入×0.5×評価倍率

※年平均印税収入とは前年3年間の印税収入を平均したものです。
※評価倍率とは将来の印税収入期間に応じる基準年利率による複利年金現価率を指します。

■営業権
営業権とは、一般的に「のれん」と呼ばれるもので、目に見えない企業の価値のことです。
具体的には企業のブランド力、社会的信用、独自の技術やノウハウ、立地条件などです。
これらの価値も相続財産として評価の対象となります。
営業権は次のように評価します。

営業権の価額=超過利益金額×営業権の持続年数(原則として10年)に応ずる基準年利率による複利年金現価率

超過利益金額=平均利益金額×0.5-標準企業者報酬の額-総資産価額×0.5

なお、医師、弁護士等のようにその者の技術、手腕又は才能等を主とする事業に係る営業権で、その事業者の死亡と共に消滅するものは、評価しないものと定められております。

・平均利益金額
過去三年間の※下記の金額を平均した金額を言います。

申告所得
▲非経常的な利益
+非経常的な損失
+支払利子や社債発行差金の償却費
+役員報酬
+繰越欠損金
※利益金額

・標準企業者報酬額
次に掲げる平均利益金額の区分に応じて、次に掲げる算式により計算した金額とします。
図を挿入
なお、平均利益金額が5,000万円以下の場合は、下記のとおり超過利益金額が0円となりますので、営業権の評価は必要ありません。

標準企業者報酬額=5,000万円×0.3+1,000万円=2,500万円
超過利益金額=5,000万円×0.5-2,500万円=0円

・総資産価額
財産評価基本通達の定めるところにより評価した課税時期直前に終了した事業年度の末日における企業の総資産の価額とします。

・基準年利率
国税庁HPから確認できます。

まとめ

・特許権は誰が使用しているかによって評価方法が異なる
・実用新案権、意匠権及び商標権等は特許権に準じて評価する
・著作権の評価額=年平均印税収入×0.5×評価倍率
・営業権の評価額=超過利益金額×営業権の持続年数(原則として10年)に応ずる基準年利率による複利年金現価率