民法改正 預貯金の仮払い制度
平成30年7月に改正民法が成立しました。
相続に関する分野の改正は約40年ぶりということで注目されています。
民法改正のうち、相続分野への影響について各回にわたり説明してまいります。
今回は「預貯金の仮払い制度」についてです。
現行制度
相続が発生し、葬儀費用の支払や生活費などのために相続人において資金が必要になった場合でも、遺産分割が終了するまでは被相続人の預貯金を引き出すことができませんでした。
金融機関側では相続の事実を知ったら預貯金を凍結することが一般的で、これにより相続人が困るという事態が頻繁に起こっていました。
どのように変わるの?
相続人の急な資金需要に対応することができるよう、遺産分割前でも相続人1人あたり最大150万円までは家庭裁判所の判断を仰がなくても、預貯金を引き出すことができるようになります。
なお、必要書類として、被相続人と相続人の戸籍謄本、運転免許証などの本人確認書類などがあれば足りるようです(詳細は今後明らかに)。
また、この預貯金の仮払い制度の利用手続きとして、家庭裁判所で手続きする方法と、金融機関の窓口で直接手続きする方法の2つの方法があります。
家庭裁判所で手続きする方法では、手続きが煩雑というデメリットはありますが、仮払いの限度がないというメリットがあります。
一方で、金融機関の窓口で手続きする方法では、手続きが簡便というメリットはありますが、仮払いを受けられる金額に上限があり、下記のいずれか低い金額が上限となります。
・相続開始時の預貯金の額×1/3×仮払いを求める相続人の法定相続分
・法務省令で定められる金額(150万円)
いつから施行されるの?
相続に関する改正民法の公布日である平成30年7月13日から1年以内に施行されるとしています。
具体的な施行日は別途政令で指定されます。
執筆者:税理士 藤田 賢