相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与の併用

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相続税対策としてはそれほど有効ではなかった相続時精算課税制度ですが、令和6年からの税制改正によって利用する人が増えてきそうですね。相続時精算課税制度の本来の趣旨は「高齢の方が預金に眠らせている資金を子育てや住宅購入など多額の使い道がある若い世代に早めに渡していくことで経済活動を活発化させる」ことにありますので、合わせて住宅取得等資金の贈与を行うケースも見受けられます。この住宅取得等資金の贈与ですが、平成20年までの贈与と平成21年以降の贈与で大きく様変わりしているので注意が必要です。

下記を前提に検証してみましょう
1.相続時精算課税制度を利用時に贈与税を納めなくて済む贈与の限度額:2,500万円
2.平成20年までの住宅取得等資金の特別控除額:1,000万円
3.平成21年以降の住宅取得等資金の非課税額:1,000万円(実際はその年によって金額が変わります)

現在は令和5年ですので、上記1と3の組み合わせになりますが、仮に住宅取得のために3,000万円の贈与をした場合、このうち1,000万円は非課税ですので贈与税にも相続税にも影響はありません。結果として2,000万円が相続時精算課税を使って行った贈与=相続税の課税対象となります。

一方、平成20年以前に住宅取得のために3,000万円の贈与をしていた場合は①と②の組み合わせになりますが、ここでいう特別控除額は「住宅取得のために充てる資金であれば相続時精算課税を使って追加で1千万円贈与してもとりあえず贈与税は課さないよ」という意味合いであり、あくまでも贈与をした額は3,000万円という扱いになります。この場合は結果として3,000万円が相続時精算課税を使って行った贈与=相続税の課税対象となります。

住宅取得等資金にかかる贈与は相続時精算課税制度における特別控除という概念がなくなって非課税という扱いになっていますが、過去に行った贈与はその年の法令によって判断されることになります。過去に相続時精算課税制度と住宅取得等資金の贈与を併用された方はご自身がどちらの扱いになるのか確認してみるとよいですね。

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