相続で取得した土地を譲渡した場合の取得費加算の特例
確定申告もようやく終わりの時期がやってきました。
この確定申告時期に問い合わせや検討が増えてくるのはやはり取得費加算の特例でしょうか。
「不動産を譲渡したのでその申告をお願いできないか?」という問い合わせの場合、ご自身の自宅を譲渡したというケースも多々ありますが、たまに「相続で取得した不動産を譲渡した」というケースもあります。
このときに検討しなければならないのが譲渡所得における取得費加算の特例です。
例えば1千万円で購入した土地を2千万円で譲渡した場合、その譲渡所得は下記のように算出します(未経過固定資産税の精算や仲介手数料など細かい部分は省略します)。
→2千万円(譲渡金額)-1千万円(土地の取得価額)=譲渡所得1千万円
ここまでは当然ですが、取得費加算が使える場合はこの土地の取得価額の金額を増やす(=経費が増えるので利益を減らす)ことが出来ます。
この取得費加算ですが、下記要件をすべて満たす場合に使うことが出来ます。
1.相続や遺贈で財産を取得している。
2.譲渡をした人がその相続で相続税が課されている。
3.その相続税の申告期限の翌日から3年以内にその相続で取得した財産を譲渡している。
なお、相続税を500万円納めているから土地の取得価額を500万円増やすことができるという訳ではなく、その人が取得した相続財産の金額の内、その土地の金額が占める割合に応じた金額だけ取得価額に加算することが出来ます。
細かい部分は省略しますが、このイメージは下記の通りです。
■その人の相続税額:500万円
■その人が取得した相続財産の総額:5千万円
■その譲渡した土地の相続税評価額:1千万円
∴取得価額に加算できる金額:500万円×1千万円/5千万円=100万円
譲渡所得の申告をする場合は忘れてはならない論点ですが、資産税案件に慣れていない税理士さんが作成した申告書でこちらが漏れているケースが度々あります。
札幌市を含む北海道エリアで相続税や資産税に関するご相談はFUJITA税理士法人までお気軽にお問い合わせください。
執筆者:税理士 佐藤友一