相続時精算課税を適用していた場合の相続税申告書への添付書類
相続時精算課税による贈与を受けていた場合、その贈与者が亡くなったときの財産(当該精算課税による贈与を含む)が相続税の基礎控除額以下で相続税申告が不要であればその相続に伴って何か手続きなどを行う必要はありません。ただし、相続税申告が必要な場合、当該精算課税による財産を含めて相続税の申告を行う必要があります。
この相続税の申告を行う場合、被相続人と相続時精算課税適用者の戸籍の附票を添付する必要があったのですが、令和2年より相続時精算課税適用者の戸籍の附票は添付が不要となっております。
戸籍の附票とはその戸籍がつくられてから現在に至るまでの住所が記録されているものであり、添付要件として求められていたのはおそらく税務行政において「相続時精算課税における贈与者と受贈者が、この相続税申告における被相続人と相続人が同一である」ということを書類上客観的に判断できるようにするためかと思われます。
ただ、相続時精算課税制度が創設された平成15年と比べ、現在はマイナンバーなど個人を特定できるものも出来ており、合わせて納税者の負担軽減も目的として添付不要へと改正されたのかと考えられます。
相続税や贈与税に限らず、法人税や所得税の申告においても「〇〇の適用を受ける場合は△△の書類を添付しなければならない」といった規定が多数あります。
添付をしなかった場合に税務署から「△△の書類が出てないので提出してください」と連絡がくるか、若しくは「添付要件を満たしていないため〇〇の適用を受けることは出来ません」と一刀両断されるかは分かりませんが、添付することが適用要件となっている規定であれば「〇〇の規定は適用できません」と言われてもやむを得ないことではあります。
そんなものは添付しなくても調べれば分かるだろうというものも多々ありますが、法律によって定められている以上はそれに従わなければならない。これらのジレンマを解消するためにも添付資料などは出来る限り簡素化されつつ、柔軟な行政対応をしてくれたらいいなと思います。
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執筆者:税理士 佐藤友一