コロナ対策による財政支出の財源は?
いまだ終息が見えない新型コロナウイルスですが、その経済対策として既に総額70兆円を超える予算が組み込まれているようです。これは何らかの形で我々国民が負担していくことになるのですが、その財源は一体何になるのでしょうか。
2011年に東日本大震災がありましたが、この時は総額38兆円程度の財政支出が行われており、その財源として下記3つの増税が行われています。
①復興特別法人税:2012年から3年間にわたり法人税の10%
②復興特別法人税:2013年から15年間にわたり所得税の2.1%
③住民税:2014年から10年間にわたり年間1,000円
個人的な考えですが、おそらく今回も法人税と所得税の増税というのが財源として求められるのではないかと思っています。
法人税に関しては国際競争力の観点から税率を引き下げてきましたが、先日のG7において「各国の最低法人税率を15%以上にする」方向で考えがまとまったようです。法人税率を下げて企業の誘致合戦が行われていましたが、コロナによって財政が圧迫されているのは日本だけではなく世界的にも同じ傾向です。そのため、現時点においては先進国において復興財源確保のために法人税の増税というのは考えられます。
所得税は広く薄く徴収しやすいため対象になると思いますが、東日本大震災の財政支出と増税割合をそのまま当てはめると3~5%の増税になってしまうのでしょうか。。。
消費税は令和元年10月に中途半端な増税をしておりますし、相続税も平成27年1月に基礎控除の引き下げにより実質的な増税が行われているため改正はしづらいと考えられます。
そこで一つ気になるのが贈与税で、昨年の税制改正では「格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて本格的な検討を進める。」と公表されています。暦年贈与による相続税対策を制限し、最終的には相続税として納税をする仕組みをつくろうとしているのかもしれません。
仕事柄毎年気になる税制改正ですが、2022年は将来的な増税が盛り込まれた嫌な改正になる気がしております。
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執筆者:税理士 佐藤友一