相続税は相続によって財産を取得した人すべてに課税されるわけではありません。
相続税課税の対象になるのは、相続財産が一定額以上ある場合のみとなります。
この一定額というのが「基礎控除額」です。
つまり、この額までは税金がかからないという課税の最低額のことです。
基礎控除額の計算方法は、
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数という式で求められます。
この金額を超える財産を相続した場合、各相続人が相続した額に応じた税率により相続税が発生します。
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相続税の税額控除
被相続人と相続人との関係や、相続人の現在の状況によって使える相続税の税額控除が7つほどあります。
以下にまとめましたので、自分のケースに当てはまりそうなものがないか見てみましょう。
1 . 贈与税額控除
相続開始前3年以内に受けた贈与財産が、課税価格に加算された場合、その贈与財産にかかる贈与税を控除できる。
2 . 配偶者の税額軽減
配偶者が相続した財産のうち、法定相続分または1億6000万円のどちらか多い方の金額までは税金がかからない。したがって、配偶者は1億6,000万円までは財産を相続しても相続税の支払いはゼロになる。
3 . 未成年者控除
相続人が未成年者の場合、未成年者が成人になるまでの年数に応じて、一定の税額が軽減される。
4 . 障害者控除
相続人が障害者である場合、障害者が85歳になるまでの年数に応じて、一定税額が軽減される。
5 . 相次相続控除
10年以内に相続税を支払う相続があった場合、前回の相続から今回の相続までの期間に応じ、一定税額が軽減される。
6 . 外国税額控除
外国の財産を相続した際、その外国の財産に外国の相続税が課税された場合、その外国の相続財産に課税された相続税が控除される。
7 . 相続時精算課税制度適用による贈与税額の控除
生前贈与の際に相続時精算課税制度を適用していた場合、相続税額から相続時精算課税制度における贈与税額を控除する。
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財産評価
財産評価について詳しくは『財産評価基本通達』にありますが、ここでは主なものついてご紹介いたします。
1 . 土地
評価方法は、路線価方式と倍率方式の2つがあります。
路線価方式
土地が面している道路に付されている価格(路線価)に基づき、その土地の評価額を算定する方式です。
主として市街地で用いられ、道路には1平方メートルあたりの金額が付されていて、その金額に土地の面積を乗じて算出します。
倍率方式
土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出する方式です。路線価の付されている地域以外で使われます。
その土地が路線価地域なのか倍率地域なのか、路線価がいくらなのかは国税庁のホームページで見ることができます。
相続対策に有効な、土地の評価額を減額することができる小規模宅地等の特例とはなにか。
2 . 自社株式
自社株式の相続税評価額がいくらであるか知る必要があります。
これを元に自社株式を相続する際の相続税を算出することができますが、上場株式については客観的な時価があるので簡単に計算できますが、未上場の株式についてはその計算方法は非常に複雑で、納税者自らが計算することは困難でしょう。
自社株式の評価額が高い場合、なぜ高いかの原因を分析して、株価が下がる可能性を模索する必要があるでしょう。
株価が高い原因としては、例えば利益が経常的に高く、内部留保金額が大きい場合があります。
また、それ以外でも、評価対象会社の総資産に占める株式や土地の割合が大きいと、評価額が高くなったりします。このような場合にはその割合を低くできないかなど、事前の対策も重要になってきます。
自社株式の評価について事前に専門家に相談されるとよいでしょう。
また、未上場株式の相続税評価額は高額になることも多い一方で、ただちに換金することは困難なことが多く、円滑な事業承継を阻害している要因となっていることから、非上場株式等の納税猶予及び免除の特例もあります。こちらの検討についてもなるべく早めに進めることが望ましいです。
3 . 生命保険金
相続税の対象となる生命保険金は、本来の相続財産ではありません。
経済的には相続財産と変わりがないために、相続財産とみなして相続税の課税対象とされます。
なお、生命保険金には非課税規定があり、法定相続人数×500万円までの保険金については相続税が非課税となります。
4.その他
その他財産債務の評価についてはこちらをご覧ください。
相続税の納税について
相続税の納税は、基本的には「現金一括納付」となります。
一括納付ができない場合は、「延納」という支払いの延期を許可してもらえる制度があります。しかし、延納を利用する場合には利子税という税金がかかります。これは現金一括納付をした人との公平性を鑑みています。
さらに延納が難しい場合、有価証券や土地をそのまま国に納める「物納」という制度が認められています。
物納は、財産の種類によって認められる順位が次のように設けられています。
第一順位 国債・地方債・不動産・船舶
第二順位 社債・株式・投資信託
第三順位 動産
つまり、不動産をもっているのに株式で物納する、という順位を越えた形で納税することは許されていません。