相続発生後3カ月~10カ月以内にするべき手続き

亡くなってから14日以内に行わなければならない手続きは暮らしや行政に関する手続きばかりでしたが、3カ月から10カ月以内に期限の設けられている手続きは税金に関する手続きがメインになります。これらの手続きは、期限を過ぎてしまうと下記のようなデメリットが生じる可能性があります。

・故人の借金を代わりに負担しなければならなくなるかも・・・
・申告納付の遅延による延滞税等の支払いが発生するかも・・・

このデメリットを生じさせないために、それぞれの期限をしっかりと把握しましょう。

1.亡くなってから3カ月以内にすべきこと

うっかり忘れられがちな期限が、相続の承継方法に関する手続きの期限です。3カ月以内に下記3つの承継方法を選択しなければなりません。
単純承認:個人の財産と債務のすべてを相続する
限定承認:財産の金額を限度として債務を相続する
相続放棄:財産も債務もすべて相続しない
上記のいずれかを選択しなければなりませんが、何も手続きをしないと『単純承認』を選択したとみなされます。限定承認や相続放棄は手続きが煩わしいため、単純承認を選択することが一般的です。それぞれの方法については相続方法の種類 単純承認?限定承認?相続放棄?で詳しく記載していますので、そちらをご参照ください。

先ほど記載したデメリットの一つである「故人の借金を代わりに負担しなければならなくなるかも・・・」はここで単純承認を選択した場合に考えられる事案です。何も手続きをせずに3ヶ月を過ぎてしまうと単純承認が適用されてしまい、故人のすべての財産と債務を承継することになります。仮に、故人が多額の借金を背負っていた場合、その借金を相続した相続人が返済することになります。親の借金を子が返すのは当然と思う方もいるかもしれませんが、その借金のせいで生きている相続人自身の人生が狂わされてしまう状況は悲しいものがあります。

このような状況を避けるために相続放棄や限定承認があります。

そのためには、3カ月以内に相続人の確定と故人の財産債務の内容を把握する必要があります。3カ月以内に間に合わなければ家庭裁判所に期間の延長を申し出ることができます。まずは、故人の相続がどのような状況なのか把握することから始めてみましょう。

2.亡くなってから4カ月以内にすべきこと

続いて、故人の所得税の確定申告です。

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額に対して課税されます。その申告は翌年3月15日までに行います。しかし、故人の場合は年の途中で亡くなってしまうため、1月1日から亡くなった日までの所得について亡くなってから4カ月以内に申告と納付をします。これを「準確定申告」といいます。
ただ、所得があっても申告が不要な場合もありますし、申告が不要でも還付を受けられるため準確定申告を行った方がよい場合もあります。判断が難しいと感じられた方はお近くの税務署か税理士にご相談ください。

3.亡くなってから10カ月以内にすべきこと

故人の相続税の申告と遺産分割協議書の作成です。

遺産分割協議書の作成に関しては期限がありません。ただ、相続税の特例の中には、遺産分割協議が整わないと適用できない特例もあります。そのため、10カ月以内に遺産分割協議の内容が確定できるようによく話し合うことが重要です。

相続は「争続」と言われるように、どうしても遺産分割協議書の作成が間に合わない場合もあります。そのようなときには特例を適用しない状態で申告書を作成し、相続税の申告を行って税金を納めることになります。その後、遺産分割の内容が確定した場合は特例を適用して計算した相続税を改めて計算し、税務署へ還付の請求を行うという流れになります。しかし、最初の相続税の申告時でなければ使えない特例もありますし、申告書に添付しなければ適用できなくなる書類もあるなど良い点はありません。そうならないためにも10カ月以内に遺産分割ができるようにしたいところです。

10カ月の期間は短いため、効率よく作業を進められるように流れを把握することが重要です。相続は生涯に数回あるかないかの大きな出来事ですし、いつ起こるか誰にもわかりません。お一人で悩まないで専門家と協力しながら進めていくのが安心できて良いのかもしれませんね。