法定相続人とは?どんな人が相続できるの?

■相続できる人とは
財産を所有する人が亡くなった場合、その財産をだれがもらうのか、これは遺言書がある場合とない場合で取扱いが異なりますが、遺言書がある場合はその遺言書に記載された人がもらうことができます。また、遺言書により遺産を受け取る人は親族に限らず他人であっても受け取ることができます。
では、遺言書がない場合や、遺言書に記載されていない財産がある場合はどうなるのでしょうか?

この記事を読んでわかること

・法定相続人とは?
・具体的には誰がもらえるの?
・遺産相続の順位
・ケース別の法定相続分
・法定相続人に関するよくある質問
・損をしない相続のためにやっておきたい、相続人調査とは?

なぜ必要なのか?

法定相続人が誰であるのかを把握せずに遺産分割を行ってしまった場合に、後々になってその事実が発覚した場合には、遺産分割協議が無効となりやり直しになってしまいます。

具体的な内容

■法定相続人
遺言書がない場合や遺言に書かれていない遺産は、民法という法律で遺産を受け取ることができる人が定められています。これを「法定相続人」といいます。

■具体的には誰がもらえるの?
基本的に法定相続人となるのは配偶者(夫や妻)と血族(血のつながりがある)相続人です。

①配偶者
配偶者は亡くなった人と婚姻関係にある人を指します。
この場合の配偶者とは正式な婚姻関係にある配偶者だけで、事実婚のパートナーや内縁の妻のような人は法定相続人とはなれません。

②血族相続人
血族相続人とは血のつながりがある相続人を指します。
血族相続人は次の区分に分かれます。

イ 直系卑属
直系卑属は亡くなった人から見て、子や孫になります。いわゆる下の世代です。

ロ 直系尊属
直系尊属とは亡くなった人の父母、祖父母などです。いわゆる上の世代です。

ハ 兄弟姉妹
兄弟姉妹は、亡くなった人の兄弟、姉妹です。

■遺産相続の順位
法定相続人となる人の範囲を確認したところで、疑問に思ったことがありませんか?
配偶者、子、孫、父母、祖父母、兄弟、姉妹がいる場合、だれが優先的に遺産を受け取ることができるのか?
実はこれについても明確に定められています。

(1)夫や妻は常に相続人
亡くなった人の夫や妻は必ず法定相続人になります。

(2)血族相続人には優先順位がある
次のように優先順位が決まっています。
①直系卑属(子や孫)
②直系尊属(父母、祖父母)
③兄弟姉妹(兄弟、姉妹)

①直系卑属(子や孫)
亡くなった人の直系卑属が第1順位となります。
ただし、子と孫がいる場合は子が相続人になります。孫が相続人となる場合は、子が既に亡くなっている時です。この場合、子の相続権を孫が引き継ぐ形になります。これを「代襲相続」といいます。子が亡くなっていれば孫に、子や孫が亡くなっていればひ孫に、というように下の世代に引き継がれます。

②直系尊属(父母、祖父母)
子や孫がいない場合、直系尊属が法定相続人となります。
両親が既に亡くなっている場合で祖父母が存命の時は祖父母が相続人となります。

③兄弟姉妹
子や孫、父母や祖父母がいない場合、兄弟姉妹が法定相続人となります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合にはその兄弟姉妹の子(亡くなった人からみると甥や姪)が代襲相続することになります。ただし、子や孫の代襲相続とは違い、甥や姪より下の世代には引き継がれませんので注意が必要です。

■ケース別の法定相続分
遺産をもらえる人がわかったところで、財産をどのように分けるのでしょうか?
これについても民法上に定められています。
主なパターンは次のとおりです。

配偶者のみ全部
配偶者と子ども配偶者2分の1・子ども2分の1
配偶者と親配偶者3分の2・親3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1
子どものみ全部
親のみ全部
兄弟姉妹のみ全部

ただし、血族相続人(子、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹)が複数人いる場合は、その人数で頭割り計算します。
例えば、配偶者と子供2人が法定相続人になる場合には、配偶者が2分の1、子供が2分の1×2分の1=4分の1ずつの法定相続分となります。
法定相続人についての図説

■法定相続人に関するよくある疑問
・養子は法定相続人になれるのか?
養子縁組をした場合の養子は実の子と同じように法定相続人となります。
法定相続分も実子と同じです。
ただし、養子が複数人いる場合には、法定相続人になれる養子の人数に制限があります。
亡くなった人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合には2人までとなります。

・前妻や前夫は法定相続人になれる?
前妻や前夫など既に離婚している元配偶者は法定相続人になりません。
なお、別居中など婚姻関係が明らかに破綻している場合でも、法律上婚姻関係にある時は法定相続人となります。

・連れ子は法定相続人になれる?
配偶者の連れ子がいる場合には、亡くなった人が生前に養子縁組をしていた場合には法定相続人となりますが、そうでない場合には法定相続人にはなりません。

・前妻や前夫の子は法定相続人になれる?
前妻や前夫との間に生まれた子は法定相続人になります。
ただし、前妻や前夫の連れ子がいる場合は生前に養子縁組をしている場合は法定相続人となりますが、そうでない場合には法定相続人になれません。

・婚外子(非嫡出子)は法定相続人になれる?
婚外子(非摘出子)とは法的な婚姻関係にない男女の間に生まれた子供のことをいいます。
愛人との間に生まれた隠し子も婚外子に該当します。
このような場合には亡くなった人が母親か父親かで取扱いが異なります。
①母親である場合
婚外子と母親の関係は出生した事実(出生届の提出)から親子であることが間違いないため婚外子は法定相続人となります。
②父親である場合
父親に認知されている場合には、婚外子は法定相続人となります。

・叔父や叔母、いとこは法定相続人とはなれない?
亡くなった人の叔父や叔母、いとこは法定相続人になりません。

■損をしない相続のためにやっておきたい、相続人調査とは
相続人調査とは、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの全部の戸籍を取寄せ、被相続人の法定相続人が誰であるのかを調べることです。これを戸籍調査といいます。
なぜ相続人調査が必要かというと、家族が知らない事実がある可能性があるためです。
例えば、過去に別の人と結婚していて子供がいた、孫を養子縁組していた場合などです。
このような場合には、遺産分割協議が無効となり、やり直しになってしまいます。
知っておきたい遺産分割協議の方法
そのような事態を避けるためにも、相続人調査をして相続できる権利のある人を確定させる必要があります。

1.相続人の調査方法
相続人調査は、被相続人の死亡から出生までの連続した戸籍謄本(戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本)を入手し、誰が相続人となるのか確認します。具体的には次のような流れになります。
(1)現在の本籍地で戸籍謄本を請求する
(2)戸籍に書かれている内容を基に、ひとつ前の戸籍を入手する(結婚や転籍を辿っていく)
(3)これを繰り返して出生時の戸籍謄本まで取り寄せる

戸籍謄本を入手するには本籍地の役所に直接行くか、郵送での対応となります。
全ての戸籍謄本を取得するには時間と手間がかかりますので専門家に依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。

メリット・デメリット

メリット
・法定相続人をしっかり把握することで、後々のトラブルを回避することができる

デメリット
・法定相続人を把握してなかったことで、控除額や非課税額が変わり本来より高い相続税を払わなければならない場合がある

まとめ

・法定相続人となるのは基本的には配偶者又は血のつながりのある親族
・配偶者は常に法定相続人となる。
・親族の優先順位は子や孫→父母、祖父母→兄弟、姉妹の順となる。
・養子が複数いる場合には人数制限がある
・離婚した元配偶者は法定相続人となれない
・配偶者の連れ子は養子縁組をしている場合には法定相続人となれる
・元配偶者との子は法定相続人となる。ただし連れ子の場合は養子縁組が必要。
・婚外子の父親が亡くなった場合には、認知していれば法定相続人となる。
・亡くなった人の戸籍謄本を取り寄せ、相続人を確定させることが重要。