株・有価証券を相続するための手続き
相続財産の中に上場株式が含まれているケースが多いです。相続人はその事実を知らなかったが、亡くなられた方の通帳履歴を確認している中で、証券会社の名称が記載されており、相続人が金融機関に問い合わせをしたことにより、亡くなられた方が株式を保有していたことが発覚するケースもありました。また、遺品の整理をしている中で、証券会社発行の取引残高報告書があり、証券会社へ確認したところ、亡くなられた時点でも株式を保有していたことが発覚するケースもありました。
相続財産に上場株式がある場合、株式特有の注意点があるため、該当する場合は下記内容をご確認頂ければと思います。
相続開始後すぐには名義変更・売却ができない
株式は現預金と異なり、毎日毎日株価が変動します。業績下方修正や世界同時株安時などは1か月で株価が半額になってしまう場合も少なくありません。そのため、相続財産に株式があることが分かった時点で一旦売却し、値が下がる心配のない現金にしたいと考える相続人が多くいますが、相続人が複数人いるケースではすぐに相続財産である株式を売却することができません。株式を売却するためにはまず名義変更を行う必要があり、名義変更を行うためには相続人が証券会社の口座を持っているという前提のもと、下記の要件を満たしている必要があります。
・遺言書があり、株式の取得者が決まっている場合
・相続人が1人しかいない場合
・遺産分割協議が成立した場合
※特殊ケースとして、調停又は審判により遺産分割が確定した場合も名義変更ができます。
特に相続人が亡くなられた方が口座を開設していた証券会社の口座を持っていない場合、まずは口座を開設する必要があるため、上場株式が相続財産に含まれているケースでは早めに証券会社にコンタクトを取る必要があります。
名義変更のために必要な書類
名義変更に必要な書類は各証券会社によって多少異なりますが、次の書類を要求されるケースが多いです。
・亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書
・遺産分割協議書
ただし、名義変更についても預金口座凍結解除の場合と同様、経験上、証券会社・支店・担当によって必要書類が変わることがあるため、予め証券会社の支店に電話をいれ、必要書類と電話対応をした担当の名前をメモすることをおすすめいたします。